2008年07月28日

ガストフロント

前日に「ダウンバースト」の記事を書いたが、敦賀市で突風により10メートル四方、高さ5.3メートルの大型テントが飛ばされて死者が出たとのニュースが有った。 繋がった4張りのテントに300キロの錘が合計で16個付いて居たのが、吹き飛ばされたと云うから、45m/sにも為ろうかと云う瞬間風速だったに違いない。 (会場は海沿いだったので、公式観測値29.7m/sよりも強い最大瞬間風速だったろう) 此れもダウンバーストの仕業と思って居たら、毎日新聞のネット版が以下のように報じて居る。

突風 ガストフロント発生の可能性…福井の10人死傷事故 (7月28日11時34分配信 毎日新聞)
福井県敦賀市のイベント会場で27日、大型テントが突風に飛ばされ10人が死傷した事故は、積乱雲の発達に伴って生ずる「ガストフロント」と呼ばれる現象が原因だった可能性が高いことが福井地方気象台の現地調査で分かった。一方、福井県警敦賀署は28日朝から実況見分を始め、テントの設置方法に問題がなかったかなどを調べている。
「ガストフロント」は、積乱雲から噴出した冷たい下降気流が地表付近で水平に広がり暖かい空気と衝突して前線を作り、突風を引き起こす現象。気象台は27日、調査官4人を現地に派遣して調査し、風向きがほぼ一定であることや、気温の急降下と気圧の急上昇が観測されたことなどから判断した。
一方で、積乱雲からの激しい下降気流が直接地面に吹きつけ、さらに強い突風となる「ダウンバースト」の可能性もあるという。 竜巻の可能性はないとみられる。【酒造唯】


ダウンバーストも知らない人の方が多いだろうが、「ガストフロント」と為ると「天気オタク」でも無いと、聞いた事すら無いだろう。 ガストフロントの発生メカニズムは、ダウンバーストと同じだ。 積乱雲から降って来る冷たい下降気流自体が強烈で、降り落ちて来た風力や其れが地面にぶつかって発散する際の突風(冷気外出流)で被害が出るのが、ダウンバーストだ。 其れに対して、下降気流や冷気外出流が周囲の空気と衝突する部分(線)をガストフロントと云う。 ( Gust と云うのは「突風」と云う意味) 強いガストフロントに竜巻が発生し易い事は良く知られて居るが、ガストフロント自体は(突風の程度にも拠るが)そんなに珍しい現象では無く、以前は「突風前線」とか「陣風前線」とも呼ばれて居た。 でも、やっぱり、誰も知らないって…
前日のダウンバーストの記事では省略したのだが、雲の上方から落ちて来た冷たい空気は雲の底に集まり、其の部分の温度が下がって行く。 すると、低温に為った雲の底面は部分的に相対気圧が高い状態と為る。 下降気流が齎す低温に依って、気圧の高く為った雲の部分をメソ・ハイ(メソスケールの高気圧)と呼ぶ。 此処から地上に向けてこの冷たい空気が流れ出して行く。 この時に周囲の相対的に暖かい空気とぶつかると、冷たい空気が暖かい空気の下に潜り込むように為る。(上のフォト参照) 此れは寒冷前線と同じメカニズムで、この前線こそがガストフロントなので有る。 「入道雲の下で、激しい雨が数分続いた後に強い風が吹いて雨脚が弱く為る」と云う経験をした人は少なく無いと思うが、此れがガストフロントに拠る現象。
今回の惨事のような50m/sに近い突風と為ると、ダウンバーストと考えてしまいがちだが、ガストフロントが遮る物の無い海から会場を襲ったと為ると此位の風速の突風と為るのかもしれない。
世界には決定的瞬間を捉えたフォトが沢山有るが、この2枚も実におどろおどろしい。
Baku


posted by claris1 at 20:28| 未分類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。